山形キャラバン・トラブル記

その2

『救援依頼』

５月２日 22:00。山形自動車道下り線、笹谷トンネル５０ｍ手前。
激しい異音を出す車を停車させるために入ったスペースは、おそらく冬季には、トンネル直前のチェーン脱着所として使われるのだと思われます。

車を飛び降りて調べたところ、異音の発生源は明らかにエンジンブロックでした。音のリズムから考えて、ひとつのシリンダーの中で何かの破片が暴れている感じ。
一刻も早くエンジンを停止させるべきと思いますが、一度停めたら二度と 始動できなくなるかも知れません。車を停めた周囲をぐるっと一周し、この場所ならばこのまま動けなくなっても問題は無いと判断しました。少なくとも他人に迷惑をかける事はなさそうです。
なぜか大きく深呼吸を一回してから・・・エンジンをオフ。

突然の静寂。改めて、大きな音であった事を感じました。
再び深呼吸をして、ダメかもしれないと思いつつもう一度エンジンをかけてみます。意外にも、あっけなく再始動できました。激しい異音とパワー不足さえ我慢すれば、このままなんとか走り続けられる だろうとも思いましたが、いつ動けなくなるかも分からない状態で対面通行のトンネルを走行するのはやはり無謀です。
車を停めたのは安全な場所だし、トレーラーには水も食料も、寝床もトイレもあります。ここで朝を待つ事は簡単で、そのことには何の不安も問題もありません。・・・でも、朝になれば自然に直るような事ではないのは明らかなので、 結局ＪＡＦに救援を要請する事にしました。

待つこと３０分ほど。　
その間いろいろ考えました。
ＪＡＦがプロだからといって この場でこれを修理できるとは思えない。
修理工場へ運んで貰うことになるのだろう・・・。
でも、トレーラーは？？？
おかーちゃんと子供たちはトレーラーと共にここに置いておき、 自分だけが修理工場に行くことになるんだろうか？

数カ月前、NIFTY-Serve FCAMP上に報告されていた「イーグルさん」のトラブルと同じ展開になりそうです。 トレーラーを牽いての旅行先で牽引車にトラブルが発生すれば同じ展開になって当然か、などと考えながら、おかーちゃんと、イーグルさんの行動を思い出しておさらいしました。
同じような行動をとるとすれば、東京と山形を何往復もしなければならなくなりそうだ・・・。

『牽引車の牽引』

ＪＡＦの救援車が来ました。
事情を説明し、実際にエンジンをかけて症状をみますが、予想通り、 「すぐに直るものではないから山形市内の三菱ディーラーまで牽引します」とのこと。

「やっぱりトレーラーは切り離さないとならないですよね？」 と言う私に対し、ＪＡＦのお兄さんは なんと、「いや、このままやってみましょう」
救援車に装備されている牽引装置を使い、パジェロの前輪を下からすくい 上げる形で地上３０センチほど持ち上げて、その前輪を牽いていく感じ。
ＪＡＦの故障車牽引の方法として、ごく普通の方法です。 ただちょっと普通と違うのは、もひとつ後ろにトレーラーを牽いているって事。

二重連結、全長約１５ｍ 計３台の車がハザードランプと黄色い回転灯を点灯しながらゆっくりと高速の本線に出ていきます。
私も家族もそのままパジェロに乗車していますので車内の風景は変わらないのですが、もちろんエンジンは停止、ハンドルもペダルも触らないまま勝手に 車が進んで行きます。楽チン楽チン、気分はハイテク自動操縦。。。

そのまま笹谷トンネルを抜け、次の山形蔵王インターに到着。
連結されてＪＡＦの救援車と一台の状態なので、高速道路の通行料がどうなるのかとワクワクしましたが、特にどうって事はなく普通に支払いました。当然か。

インターからは片側二車線の市街地を数キロ走って目的のディーラーへ。 この二重牽引走行、昼間だったらさぞかし好奇の視線を浴びた事でしょうが、夜遅い時間だったので恥ずしげにうつむいたり妙な照れ笑いをする必要はありませんでした。 渋滞の原因にもならず良かった良かった。
二重牽引のままでは小さく曲がる事ができないため、山形三菱自動車の前で ＪＡＦ救援車からは分離して、自力でディーラーの敷地内に入りました。邪魔にならない場所に車庫入れをして 一安心。

『ゴールデンウィーク』

ＪＡＦへの料金支払いはその場で済ませました。
会員なので基本料や５km以内 の牽引は無料になります。 超過分は１km当たり約６００円とのこと。私が牽引 してもらったのは１５kmだったので、支払いは１０km分約６０００円という計算になります。

時刻は間もなく２４時。もちろん、この時間にディーラーの人間がいるわけではありませんが、明日の朝を待てば良いだけ・・・と思ったら大間違い。
なんと、 ディーラーは５月５日までゴールデンウィークの連休中で営業は６日から。今日はまだ２日。。。

ショウルームの入り口ドアに張り紙がしてあったので見に行くと、「誠に勝手ながら・・・」。
でもちゃんと下の方に「緊急の故障の場合には・・・」とも書いてありました、「ＪＡＦにご連絡下さい」と。 トホホ。
ま、とにかく今夜はどうしようもありません。　山形三菱自動車の店頭駐車場にて新車のパジェロの屋外展示車と並んでＰ泊です。

気付いてみれば出発時の 予定通り、山形市内でのＰ泊です。 明日はここから天童温泉に行く事にしましょう。　それが、今回の山形旅行の第一目的だったのです。
こんな所に車とトレーラーを置いたまま、バスか列車 を使って行くことになるとは思わなかったけど。

また、つづく。（その３へジャンプ）